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【保存版】米中貿易戦争で影響を受ける中国企業と取引のある台湾企業。

【保存版】米中貿易戦争で影響を受ける中国企業と取引のある台湾企業。

どーもこんにちは。

台湾マスターです。

寒くなってきましたね。気温と同じく、台湾の株式市場も寒さが増しております。と言いましても、貿易戦争が本格化してからは世界的に株価が冴えない日が続いてますね。

台湾でも2018年10月11日に加権指数が10000ポイントを割って以降は冴えない日が続き、貿易戦争の90日の休戦が発表された後の12月3日と4日の2日だけ10000ポイントに返り咲きましたが、それ以降はiPhoneの売れ行き不振ファーウェイ問題もあり、またまたパッとしない日がず~っと続いています。

画像元:Goodinfoホームページ

台湾の経済は中国に大きく依存しています。

台湾の大企業は中国に工場を構えています。EMS(ホンハイ、ぺガトロン、ウィストロン等)はその筆頭ですね。また、工場を構えてなくとも、中国の大企業に自社の製品を納めたりしています。

アップル製品のほとんどは台湾のEMS企業によって中国本土で製造されており、中の部品も台湾製のものが多数使用されているため、アップルがコケれば台湾企業もコケます。

iPhoneが不振ということで、アップル関連の台湾企業の株価が9月以降下落していますが、最近では以前に発生したZTE問題、そして現在進行形のファーウェイ問題等の貿易戦争による影響が激しくなってきておりそのため、株価が冴えません。

今回は、

米中貿易戦争で影響を受ける中国企業と取引のある台湾企業について。

をテーマに、実際に影響を受けるであろう台湾企業について特集したいと思います。以下で紹介する企業は貿易戦争においてリスクを背負っている企業と言えます。

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米中貿易戦争渦中の中国企業

今回は、ZTE(中興)ファーウェイ(華為)レノボ(聯想)BOE(京東方)の4社に的を絞って、これらの企業と関係のある台湾企業について見ていきましょう!

ZTE(中興)

画像元:ZTEホームページ

通信設備・端末製造のメーカーです。中国公安と癒着しスパイ行為を働いた疑いや、イランや北朝鮮へ製品を納品し、それを組織的に隠蔽したことから、アメリカから10億ドルの制裁金と4億ドルの預託金、合計14億ドルの支払いを迫られ、その金額を納めてやっとのことアメリカ製部品の輸入が可能となり製造が再開できた曰く付きの企業です。

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この中国企業とビジネス上の取引のある台湾企業は以下となっています。

企業名の隣には証券コードを記載しています。

康舒-6282(AcBel):電源モジュール関連

聯發科-2454(メディアテック):ファブレスIC設計

大立光-3008(ラーガンプレシジョン):スマホ用レンズ

正淩-8147(Nextron):コネクター

奇景-ナスダック上場HIMX(ハイマックス):ファブレスドライバIC設計

南亞科-2408(NANYA):半導体メモリ製造

聯亞-3081(ランドマーク):エピウェハ製造

穩懋-3105(ウィンセミコンダクター):3D センサー主要部品製造

※ホームページがSSLに対応していない為、警告が出ます。

聯鈞-3450(eLaser):レーザーダイオード・光通信関連部品製造

ファーウェイ(華為)

画像元:ファーウェイホームページ

日本でもコスパが高いと評判のスマホを売ってるグローバル通信機器製造企業です。

次世代モバイル通信規格、いわゆる「5G」の開発において世界をリードしていると目されている企業です。ZTEと同じく、デバイスにスパイウェアを組み込んでいるのではないかと疑われており、アメリカをはじめ、各国からファーウェイ製の5G関連設備の導入が排除されるという問題に発展しています。

ただ、ファーウェイ側は否定しており、事実無根だとして法的措置をとる構えです。また、ドイツもスパイの「証拠はない」とし、ファーウェイ排除の世界的な動きに警鐘を鳴らしています。

この問題、ファーウェイの副会長がカナダで逮捕され、外交問題にも発展しています。すでに保釈されましたが、今後の進展には注意が必要です。

この中国企業とビジネス上の取引のある台湾企業は以下となっています。

台積電-2330(TSMC):知らない人はいない超優秀ファウンドリ

日月光-3711(ASE):半導体封止・検査

大立光-3008(ラーガンプレシジョン):スマホ用レンズ

矽品(SPIL):半導体封止・検査(日月光と合併)

聯詠-3034(NOVATEK):薄型ディスプレイドライバIC&SoC

聯發科-2454(メディアテック):ファブレスIC設計

晶技-3042(TXC):周波数制御デバイス

欣興-3037(Unimicron):PCB製造

瑞昱-2379(リアルテック):ファブレスIC設計

南亞科-2408(NANYA):半導体メモリ製造

旺宏-2337(マクロニクス):不揮発性半導体メモリー

鴻海-2317(ホンハイ):EMS世界最大手

昇達科-3491(ユニバーサルマイクロウェーブ):バンドパスフィルタ、ダイプレクサおよびアンテナ製造

眾達-KY-4977(PCL):光通信送受信モジュールの開発、製造、販売

聯亞-3081(ランドマーク):エピウェハ製造

聯鈞-3450(eLaser):レーザーダイオード・光通信関連部品製造

レノボ(聯想)

画像元:レノボホームページ

レノボは日本でも馴染みのあるメーカですよね。IBMからPC部門を買収したことで一躍有名になったパソコンメーカーです。ノートパソコンで不動の人気を誇ったThinkPadも今やこのレノボによって企画、製造されています。私の会社でもかなりの数のレノボのパソコンがありますが、非常にいいパソコンです。もし内部に何か仕組まれてたら嫌ですが、それを言ったらどこのメーカーのパソコンも一緒ですよね。

この中国企業とビジネス上の取引のある台湾企業は以下となっています。

仁寶-2324(コンパル):EMS

鴻海-2317(ホンハイ):EMS世界最大手

緯創-3231(ウィストロン):EMS

英業達-2356(インベンテック):EMS

廣達-2382(クアンタ):EMS

群光-2385(チコニー):EMS

康舒-6282 (AcBel):電源モジュール関連

奇鋐-3017(AVC):放熱モジュール

全漢-3015(FSP):電源ユニット

精英-2331(ECS):マザーボード

東碩-3272(グッドウェイ):USB関連

微星-2377(msi):PC・マザーボード

台積電-2330(TSMC):知らない人はいない超優秀ファウンドリ

BOE(京東方)

画像元:BOEホームページ

日本ではあまり聞いたことのない企業かもしれませんが、大型液晶パネル製造の分野では世界一位となった、知る人ぞ知る企業です。莫大な投資を行い、10.5世代の最先端液晶パネル工場を建造したり有機ELの分野にも進出したりと、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長している注目企業です。

この企業の台頭が原因で液晶パネルが供給過剰となり値崩れを起こし日本・韓国・台湾のライバル企業が大変な目にあったりしています。台湾の液晶パネルメーカー(イノラックスとAUO)の株価が冴えないのはこのためです。まさにレッドオーシャンと化しており、2018年12月13日の晩、中堅の液晶パネルメーカーである中華映管(CPT)が台湾の会社更生手続きに入りました。

恐ろしい企業です。

この中国企業とビジネス上の取引のある台湾企業は以下となっています。

聯詠-3034(NOVATEK):薄型ディスプレイドライバIC&SoC

敦泰-3545(フォーカルテック):液晶パネルドライバIC

奇景-ナスダック上場HIMX(ハイマックス):ファブレスドライバIC設計

誠美材-4960(CMMT):偏光板

榮創-3437(AOT):LED

終わりに

上記で紹介している台湾企業の証券コードも記載していますので、気になる企業があれば是非調査してみてください。

上のリストに記載されているからと言って、その台湾企業の業績が今後どんどん悪化していくとは限りません。

ただ単に穏やかでない中国企業とビジネス上の取引をしているリスクを抱えているというだけに過ぎません。まあ、投資家がリスクを嫌うのは当たり前であるため、上で紹介した企業の株価は現状あまり冴えませんがね。

でも、リアルテック(瑞昱)などはこれらのリスクを跳ね返すくらいの魅力的な新製品が目白押しなので、現在加権指数は冴えないものの、最近では株価が絶好調です。

要するに、中国一辺倒ではダメだということです。確かにマーケットは大きいため、企業としては非常に「美味しい」エリアではあるのですが、リスクも承知でビジネスをしないと今回みたいに痛い目に遭うということです。

今回の貿易戦争を機に多くの台湾企業がチャイナリスクについて真剣に考え、実際に台湾や東南アジアへの生産移管が進んでいます。そして、中国企業以外の新たなビジネスパートナーを模索している企業がどんどん増えてきています。

今後どうなるかにも注目していきましょう。

以上

台湾マスターでした。

 

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