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台湾で仕事したい人必見!就労ビザと給与と労働環境について。

台湾で仕事したい人必見!就労ビザと給与と労働環境について。

毎度です。

台湾マスターです。

今回は台湾で仕事をしたい人に役立つ情報をお伝えしようと思います。

昨今、留学で台湾に来てそのまま台湾で働きたいと思った人や、駐在で台湾にいて、帰国命令が会社から出されたけどやっぱり台湾で働き続けたい、という人がいるそうです。

就労ビザの発給要件とは?給与は?退職金は?労働環境は?

色々知りたい人も多いと思います。今日はこれらについて語りましょう!

ではまず、就労ビザの発給要件についてみてみましょう。

就労ビザ

現在就労ビザ取得にあたり、業種ごとに就労ビザ発給要件が詳細に定められています。業種は以下となっています。

業種

A01.建設

A02.交通事業

A03.税務・金融サービス

A04.不動産

A05.移民サービス

A06.弁護士、特許

A07.エンジニア

A08.医療

A09.環境保護

A10.文化・スポーツ・レクリエーション

A11.学術研究

A12.獣医師

A13.製造業

A14.卸売業

A15.その他「中央目的事業主管機関」承認の仕事(1.事業経営、科学或いは技術サービスの経営管理、設計企画コンサル 2.飲食業のエグゼクティブシェフや料理人。)

以上が台湾政府の定める業種となります。

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就労ビザ発給要件

上記業種にて就労ビザを取得するには基本的に月給が台湾ドルで4万7,971元以上あり、尚且つ下記のいずれか1つの条件に適う必要があります。

1.大学院で修士号や博士号の学位を有していること。

2.学士の学位を所有する者場合は2年以上の職業経験が必要。

3.「專門職業及技術人員考試法」の定める証書や資格を有する者。

4.職業経験が5年以上あり、尚且つ特殊な技能を有する者。

5.多国籍企業に従事し会社命令で1年以上台湾に駐在する者。

詳細については、台湾の労働部労働力発展署のHPをご確認ください。(中国語と英語から選べます)

台湾国内大学卒業者の就労ビザ発給要件

台湾国内の国公立大学や私立大学で学士号を取得し卒業した新卒者(職業経験の無い状態)で台湾にて就業を望む場合は、上記条件とは別の条件で就労ビザの取得が可能です。

その条件とは、経歴をポイント化し、70ポイント以上あれば、就労ビザが発給されるというものです。2018年1月~12月までに2,500人限定で発給される予定です。ただし、最長で3年間のみの就労ビザの発給となります。雇用側に課される最低月額給与の規定はありません。つまり月給は4万7,971元以下の可能性大、ということです。台湾の最低賃金での雇用もありえるということです。

ではそのポイント制度について、日本語に訳しましたので見てみましょう。

※転載厳禁ですよ!どうしても転載したいという方は問い合わせ欄から連絡ください。

ざっと見る限り、70ポイント以上を取得するのにそれほど難しいわけではなさそうですね。

大学の学士卒業(10ポイント)で給与が35,000元以上あり(20ポイント)中国語が「流利」レベルであり(30ポイント)日本語が話せれば(10ポイント)もう70ポイントに達しますね。

この部分については今後どうなるのか状況を見守る必要があると思います。台湾政府として国内の台湾人の雇用を守らなければいけませんからね。外国人の就労ビザ発給要件はこれまでもちょこちょこ変更されています。

最近では2018年2月に国外の優秀な人材を誘致するために、外國專業人才延攬及僱用法」が施行されました。この法律では国外エキスパートの就労ビザ、居留証、退職金、税制面での優遇が謳われています。

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給与について

こちらの大学を卒業して新卒で会社に入らない限り、基本的に法律では

月給4万7,971元以上

と定められています。これは最低賃金の2倍の給与となります。日本円に換算すると約17万3千円ほどですので、日本に比べると少ないですね。しかもボーナスや諸手当等を引っくるめて4万7,971元ですので、実際の1ヶ月の手取りは日本円で15万も行かないと思います。

台湾現地の企業によっては法律で定められている月給を払ってくれない場合もあります。「ビザ出してあげてるだけでも感謝しろ」と言わんばかりの企業が実際に存在します。実際私の友人も以前、3万元も貰っていない人がいました。もちろん、確たる証拠を揃えて台湾の労働部に行けば告発できますが。。色々と面倒くさいことになるので、ほぼ泣き寝入りでしたね。まあ、彼はすぐにその仕事をやめましたが。

あと、日本語学校の先生とかなら月給4万7,971元以上という法律が適用されず、時給で働かされます。時給はいいですが、体力と話術勝負の仕事なので、月給4万7,971元以上稼ごうとするとかなり長時間働かないとダメですし、シフト的にそんなに入れるか微妙です。

台湾で就職しても、中国語ができるだけでこれといったスキルがないと給与は多くありません。

実際、台湾で1年間中国語を勉強したくらいではビジネス上であまり役にたちませんので、仕事が見つかったとしても法律に則った給与しかもらえないでしょう。

台湾には日本語が流暢に話せる台湾人が山ほどいるので、中国語が少しできるぐらいでは全く相手にされないのが実情です。やはり他の人にない経験や人脈やスキルがあって、尚且つ中国語もペラペラくらいじゃないと、雇う企業にとっての「旨味」があまりないため、いい給与はもらえません。

逆に中国語ができなくてもIT系や半導体設計のスキルがあって英語ができれば新竹あたりで日本円で年収1,000万円を超える仕事は比較的容易に見つかると思います。



また、本当に素晴らしい経歴やスキルの持ち主であれば中国語や英語ができなくても日本語が話せる台湾人の通訳をつけてもらい、日本より給与の良い仕事を見つけることは可能です。要するに「あなたに知ってもらいたい将来の事」の記事でも書きましたが、人も付加価値が必要ということです。

もし自分に付加価値がまだなく、ただお金を貯めたいからとか、楽したいからという理由で台湾に来ると痛い目に合うと思います。

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退職金について

台湾にも退職金制度があります。結構ややこしいので簡単に説明します。

台湾には2種類の退職金制度が存在します。「新制」と「旧制」と呼ばれています。今から就職する台湾人は「新制」の加入となり「旧制」には加入できません。

「新制」:企業は各労働者のために毎月各個人の給与の6%を退職積立金として労働者の口座に振り込まなければなりません。労働者側も任意で6%をその退職金口座に振り込むことも可能です。この口座は労働者が転職したとしても引き継がれる個人の退職金用口座であるため、何度転職しても退職金は個人口座にプールされ続ける状態となります。15年働けばその口座内の退職金を受け取ることが可能になります。

 

「旧制」:企業は労働者のために毎月給与の2〜15%を口座に振り込まなければならず、労働者は原則として25年間その企業で働き続けなければ口座内の退職金を受領できません。勤続15年までは1年に2ヵ月の退職金が加算され、15年以上については1年に1ヵ月加算されていきます。勤続25年の時点で最高の45ヵ月となり、それ以上は増えません。退職金は退職する直近6ヵ月の諸手当等を含む平均給与から算出されます。例えば25年間同一企業で勤め上げた人が平均給与8万元で退職する際、8万元×45ヵ月=360万元(JPY1,300万円)の退職金を手にすることになります。ただし、25年間働かずに途中で他企業に転職すれば退職金は受領できません。というのはその口座を管理しているのは個人ではなく企業だからです。

退職金の金額としては「旧制」の方が圧倒的に多いです。しかし、転職したり会社が倒産すればもらえなくなるのでリスクがあります。「新制」は金額が少ないですが、転職可能な融通の効く制度です。

以前は台湾で働く外国人は法律上「旧制」にしか加入できなかったため、25年間同じ会社で働き続けなければ退職金は出ませんでしたが、2018年2月から、永久居留証取得者については「新制」への加入が可能となりました。

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台湾の労働環境について

このブログの「台湾労働基準法改正について」でも触れましたが、台湾の労働基準法は日本よりも厳しく、かなり労働者側に立った法律となっています。

抜き打ちで度々捜査が入ったり、労働者からの訴えがあった場合はすぐに労働部が捜査にきます。それでもし何らかの違反が発覚した場合は労働局のホームページに企業名と責任者名が公開されます。そういう意味では労働者は法律にある程度守られていると言えると思います。では「過労死」で労災認定されている人数はどうでしょうか?下の図を見てください。

引用元:台灣沒有過勞死?四張圖看過去五年台灣過勞死狀況

※台湾労働部提供のデータには「過労死」という文言は使用しておらず、「脳心血管疾病」と表記されています。過労の基準は日本と同じ基準を採用しているとのことです。

2017年の統計では半年間ですでに15人が過労死ということで労災認定されている状態ですね。労働部労工保険局の最新の2017年下期のデータを見ると、下期も上期と同じ15人が過労死で労災認定されていました。

なので、2017年通期では30人の過労死者数ということで、2016年の過労死者数の倍となっています。

ちなみに日本の厚生労働省の2016年度の統計を見ると、同じ脳・心臓疾患による労災認定数は107人でした。

労働人口の比率で考えて見ましょう。

台湾の労働人口は約1,170万人です。2017年には30人が過労死と労災認定されていますので、39万人に1人の割合でが過労死が発生している計算になりますね。

では日本はどうでしょうか?

日本の労働人口は約6,479万人です。2016年度に脳・心臓疾患による過労死と労災認定された人は前述の通り107人ですので、60万5千人に1人の割合で過労死が発生している計算になります。

こう見ると、台湾の方が脳・心臓疾患による過労死は多く発生しているんですね!!

自分でもびっくりしました。日本の方が絶対に多いと思っていたのですが、実は違うんですね。

確かに、友人の話を聞く限り、台湾の中小企業はブラック企業が多いと思います。残業代は支給されない、夜12時くらいまで働かされる等の話を台湾人からよく聞きます。また、二重帳簿をつけるように強要されたりすることがあると聞きます。私の友人のうち少なくとも3人は二重帳簿をつけるように会社からパワハラを受けたため仕事をやめています。

では、台湾の労働環境は日本よりも悪いのか?

悪い部分もたくさんあります。上のようにパワハラが横行してる同族経営が本当に多いですし、長時間労働を強要される場合もあるでしょう。

では良い点は?

私が見る限り台湾の職場環境は日本のような「和」を大事にしたり忖度したりしなくていい環境です。

「個」が重視されるように感じます。

仕事とプライベートをはっきり分けている人が多いように思います。私はプライベートを大事にするのでこの「ドライ感」が大好きです。

もちろん大阪人ばりに色々聞いてくる人も多いですが、基本「ドライ」なので全然気になりません。また、台湾企業であれば、仕事が終わってから同僚や上司と飲みに行ったり食事に行ったりすることもあまり無いと思います。在台日系企業の場合は、日本人上司から飲みや食事に誘われて面倒くさいという台湾人の話を聞いたりしますが。。

何れにしても、人間関係で悩むことは日本に比べて少ないのではないかと思います。それは本当に良い点だと思います。

おすすめの就職先

もし台湾で就職を考えているなら、「日系企業」に就職するのが無難です。

もし台湾証券取引所に上場しているような台湾の有名企業に就職するならそれも良いと思いますが、決して人が経営する同族経営の中小企業には就職しないほうがいいです。

もちろん雇う側もある程度の規模の会社じゃないと日本人を雇えないので、あまりに小さな企業に就職することは事実上無理だと思いますが、台湾人しかいない企業であれば、労働基準法を守らなかったり、パワハラがあったり、文化の違いなどで確実に悩むことと思います。

日系企業であれば、上司が日本人である場合が多く、周りの台湾人の同僚も日本人に対する理解があるので、働きやすいと思います。

いい上司に巡り会えば、将来性が一気に広がりますし、自分の評価が高ければ、日本に帰国しても親会社で働ける可能性も十分にあります。また、駐在で台湾にいる董事長や総経理は本社の役員であったりする場合が多いので、逆に本社のお偉いさんと知り合いになれる機会が増えて、日本にいる社員よりも人脈が広がる可能性も大です。

なので、台湾に就職するなら日系企業一択だと思います。※ただ、駐在できている人の給与と自分の給与とを比べてしまうと、惨めな気分になることがありますが、それは仕方がないことで、受け入れるしかないです。

まとめ

台湾は食事も美味しいし、親日だし、本当にいい場所です。ただし、ここで働くとなるとまた別問題です。給与も日本よりは少ないですし、台北に住むなら家賃も高いです。ブラック企業も多いです。もし特にこれといった目的がなく、ただ台湾で働きたいという理由で働き、且つ外国人の最低賃金しか稼げないなら、日本で大人しく働いたほうが絶対にいいと思います。でも中国語に磨きをかけて中国語のエキスパートになりたい!とか、台湾企業文化を勉強したい!とか台湾で起業したい!とか、きちんと目的がある人は、こちらで働いてみるのもありだと思います。

以上

台湾マスターでした。

 

 

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