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2019年大注目の半導体ファブレス企業!リアルテックとノバテック。

2019年大注目の半導体ファブレス企業!リアルテックとノバテック。

どーもこんにちは。

台湾マスターです。

さて、台湾の屋台骨を支える産業と言えば何でしょうか?

このブログをご覧になってくださっている読者様ならすぐにピーンとくると思います。

答えは

EMS(受託生産)と半導体設計&生産

です。

EMSではホンハイ(鴻海)、半導体のファウンドリ(半導体の製造に特化した企業)ではTSMCが世界的に有名というか世界第1位です。

日経新聞にもよくでてくる企業名なので、聞いたことある方も多いと思います。

悔しいですが、現状この分野では日本企業に勝ち目はない状態です。

で、今年大注目の台湾の半導体ファブレス企業というのが、

リアルテック(瑞昱)とノバテック(聯詠)

です。

今回はこの2社についてご紹介いたします。

右に証券コードを書いてますので、詳しく調べたい方は下の記事を参照!

台湾株の個別銘柄を調査!業績・証券コード・信用取引・配当など。

と、その前に、世界の半導体設計のファブレス企業ランキングを見てみましょう。

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半導体設計ファブレス企業ランキング

台湾で有名な調査会社「トレンドフォース」の傘下である拓墣產業研究院がまとめた最新情報によると、2018年における半導体設計のTOP10は以下となっています。

1.ブロードコム

2.クアルコム

3.エヌビディア

4.メディアテック

5.AMD

6.ザイリンクス

7.マーベル

8.ノバテック

9.リアルテック

10・ダイアログ

台湾からは3社(青字)もランクインしています。語尾に「テック」とついてるのが特徴ですね。残念ながら日本企業は0です。1社もランクインしていません。悲しくなりますね。

では、本題に入りましょう。

リアルテック(瑞昱):2379

画像元:リアルテックホームページ

日本でもPC関連、例えばLANチップで有名なIC設計に強い半導体ファブレス企業です。

「カニさん」マークで有名です。

このマーク、私は個人的に大好きです。なんか肩の力が抜けてていい感じですよね~。

ちなみに、なぜカニなのか?というと

我們以螃蟹為企業的標章,是期許自己能效法螃蟹在自然界中以堅韌的生命力,無懼無畏,勇於挑戰的象徵意義。這種不畏艱困險惡,迎向卓越的競爭,正是我等自我惕勵,愈挫愈勇的最佳寫照。我們也正如同科技洪流中的一隻生機勃發的螃蟹,茁然成長。

引用元:リアルテックホームページ

日本語に訳すと

カニの自然界における強靭な生命力と恐れを知らない勇敢にチャレンジする精神を取り入れ、カニをカンパニーシンボルとしました。この困難を極める状況の下でも恐れることのない精神は卓越した競争を生み、我らを奮起させ、挫ければ挫けるほど勇敢に立ち向かうという素晴らしき写し鏡です。私たちはテクノロジーという激流の中でたくましく生き抜くカニの如く力強く成長し続けます。

なんか、アリババの半導体設計会社の「平頭哥」のような企業理念ですね。

カニにそこまで思い入れのがあるとは非常に興味深いですが、とにかく注目されています。

リアルテックの2018年の実績

2018年売上高:45,805,744,000元(JPY1,649億円)

→前年比109.9%

当期純利益:43.51億元(JPY157億円)

→前年比128.3%

売上総利益率:44.7%

→前年比101.7%

EPS:8.57元

PER:2019年3月19日現在約21倍

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注目されている理由

1.無線LAN規格「IEEE 802.11ac」の浸透

旧来の無線LAN規格である802.11nからさらに爆速へと進化を遂げた802.11ac。現在ほとんどのWi-Fiルーターやパソコンに標準搭載されるようになり、無線LANチップのサプライヤーであるリアルテックはその恩恵を受けています。

2018年のリアルテックの802.11nと802.11acの出荷割合は50:50でしたが、今後はより一層802.11acの出荷が増え、売上に貢献すると期待されています。

もちろん次世代規格である802.11axの開発にも積極的です。

2.Bluetoothチップの売上拡大

アップルのAirPodsが発売されて以来、左右独立のいわゆるトゥルーワイヤレスのイヤホンが史上を席巻していますね。今年は新世代のAirPodsが発売されると噂になっています。

昨年の報道によると、リアルテックはすでにBluetoothチップをシャオミ(AirDots)とファーウェイに供給しており、今後も出荷量が拡大することが確実視されています。

コストパフォーマンスに優れた極めて競争力のあるBluetoothチップとして大注目されています。

3.高速大容量通信「車載Ethernet (イーサネット)」用チップの出荷開始

自動運転技術のコアになる部分が高速大容量通信を可能とする車載イーサネットの採用と言われています。

リアルテックは2011年から OPEN Allianceという車載Ethernetに関わる仕様策定・普及促進団体に加入し、関連チップの開発を行っています。

しかもリアルテックはこの団体の中核であるPromoter(プロモーター)として参画しています。

プロモーターは世界で16社のみです。

画像元: OPEN Allianceホームページ

その16社とは

BMW、ボッシュ、ブロードコム、コンチネンタル、ダイムラー、GM、ハーマン、ヒュンダイ、ジャガーランドローバー、NXP、ルノー、リアルテックルネサス、トヨタ、フォルクスワーゲン、ボルボ

そうそうたる顔ぶれですね。

長期にわたる開発期間を経て、

ついに2018年Q4からBMW向けに車載イーサネット(Automotive Ethernet)用チップの量産出荷を開始!!

報道されました。

現状での出荷量は多くないと報道されていますが、今後はダイムラーやフォルクスワーゲン等にも採用されると予想されており、爆発的な成長が見込まれています。

また、開発期間やその特殊性からしても他社がすぐに追いつくことは難しい技術で、製品単価を高く設定できるため、利益率の向上も期待されています。

ということで、以上の3本柱が今年のリアルテックを牽引していく模様です。

現在の株価

リアルテックはIC設計企業の中で、2019年3月現在1、2を争う人気の銘柄となっております。

2019年3月19日時点でのチャートは以下となっています。

画像元:Yahoo!台湾

2018年の11月下旬を境にどんどん上がり続けています。2019年3月の上旬に利益確定売りでガクンと下がりましたが、3月19日に4%ほど上昇し、また上昇気流に乗りましたね。

目標株価

2019年1月末時点でモルガン・スタンレーの出した目標株価は

185元

です。

すでに目標株価に近づいていますね。

ノバテック(聯詠):3034

画像元:ノバテックホームページ

ノバテックは台湾のファウンドリであるUMC(聯華)グループの一員1997年に設立されたファブレスIC設計企業です。

2000年にグレタイ市場に上場し、2002年からは台湾証券取引所に上場しました。

ディスプレー用ドライバーICの設計で有名です。

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ノバテックの2018年の実績

2018年売上高:54,833,856,000元(JPY1,974億円)

→前年比116.4%

当期純利益:63.9億元(JPY230億円)

→前年比127.2%

売上総利益率:31.03%

→前年比102%

EPS:10.5元

PER:2019年3月19日現在約17.8倍

注目されている理由

1.TDDI(Touch Display Driver Integration)の浸透

これにつきます。

タッチコントロールICとディスプレードライバーICを集積化したものを「TDDI」といいますが、これが最近のスマホに採用されてきており、ノバテックは2018年通年で1.5億セットもの数を出荷しています。

2019年についてはTDDIを採用するスマホが3割(去年は2割)に上るとみられており、ノバテックは技術的にも他社より秀でているため現状の約4割のシェアからさらに大きくシェアを伸ばし、シナプティクスからトップシェアを奪うのではと予想されています。

今後もTDDIがスマホにどんどん浸透していきますので、成長が見込めますね。

2.OLED(有機EL)用ドライバーICを出荷開始

中華スマホのOLED(有機EL)採用機種が増加傾向にあり、現在ノバテックは毎月100万セットを出荷していると報道されています。

尚且つ、ノバテックのOLED用ドライバーICは一般的なリジット基板とフレキシブル基板どちらも対応しており、トレンドの折り畳みスマホにも対応するICであるとの事から、中国大陸のパネル製造業者のOLEDの歩留まりが上がれば、出荷量は今年1,000万セットを超えるとみられています。

マイクロLEDが本格的に普及し始めるのはまだまだ時間がかかりそうですので、現時点ではOLED採用のスマホが今後も増え続けることになると思いますが、これを制御するにはドライバICが不可欠ですのでノバテックには大いに期待できますね。

3.光学指紋認証ICの客先承認作業開始

ホームボタンや、背面のボタンにタッチし指紋認証にてスマホのロックを解除するという機種はまだまだありますね。

でも最近では顔認証であったり、虹彩認証であったり、スマホにタッチしないで認証するシステムを搭載したスマホも出てきています。

でも、マスクをしていたりサングラスをしていたりするとうまく認証されずにイライラすることもあるかと思います。でもかと言って、指紋認証用のボタンを配置するとなると前面や背面のデザインに影響がでます。

で、それを解決するために生まれたのが

ディスプレイ内臓型指紋認証です。

画面を指で触れるだけでロックが解除できるという優れもので、OPPOのスマホなどではすでに搭載されています。

光学式と超音波式がありますが、ノバテックは光学式のディスプレイ内指紋認証ICの開発に成功し、現在中国の客先で承認作業を行っているとされています。承認されれば下半期から量産・出荷されるとのこと。

また、この光学指紋認証ICと上記のTDDIを融合させたICの開発も行っており、もし開発に成功すれば一気にシェアを伸ばすであろうとされています。

この3つの将来性のある技術を武器に、今年の大躍進が期待されています。

現在の株価

ノバテックとリアルテックの株の値動きは非常に似ており、だいたい同じくらいの株価で、同じような動きをしているのが特徴です。株価の面では抜きつ抜かれつを繰り返しており、3月19日現在ではノバテックが勝っています。

画像元:Yahoo!台湾

目標株価

2019年2月末時点でモルガン・スタンレーの出した目標株価は

192元

です。

ここもリアルテックと一緒ですでに目標株価に近づいていますね。

懸念点

ノバテックは2019年8月にTDDIのライバルであるフォーカルテック(敦泰)に特許権の侵害で訴えられています。

特許関連の裁判は結果がでるまで時間がかかりますが、万が一特許権の侵害が認められた場合、ノバテックにとっては痛手となります。

今後の動向に注意が必要です。

終わりに

今回は台湾で今年大注目されている半導体ファブレス企業、リアルテックとノバテックを紹介しました。

私個人もこの2社については去年の7月ごろからウォッチリストに入れており、実際に保有していました。

上記にあるように、この2社の現在の株価はすでに外資系証券会社の設定している目標株価に近づいたため、先週利確のため一旦手放しましたが、今後も動向を見守り、下がってくればまた保有しようと思います。

2018年の10月あたりからフィラデルフィア半導体指数の大幅な下落とともに、台湾の半導体設計企業の株価が一気に下がり、暗雲が立ち込めたりもしましたが、今年に入り順調に回復しています。

特にこの2社については、将来性もあるため今年も大いに期待できるのではないかと思います。

まあ、今後どうなるかなんて、実際は誰にもわかりませんがね。リスクは自分で背負いましょう。

以上

台湾マスターでした。