【家電】明らかに安いモノは偽物です。原価と商流から説明します。
どーもこんにちは。
台湾マスターです。
さて、みなさんはネットショッピングを楽しんでますでしょうか?
以前に「台湾のネット通販(ECサイト)事情。B2C?B2B2C?C2C?蝦皮購物?」という記事を書いて、その冒頭で日本でネットショッピングを利用している人の推移について、統計をもとに紹介しました。
日本でもどんどんネットショッピングを利用する人が増えて、
家電量販店で実物を見て、アマゾンとかのECサイトで購入する。
っていう人が多いのではないでしょうか?
台湾でもネットショッピング環境が充実していて、アマゾンはありませんが、似たようなサイトがたくさんあるので、困ることはありません。
で、そんな時ちょっと気になるのが、
これめっちゃ安いけど、ホンモノかいな?ニセモンちゃうよな?
という疑問ですね。関西弁ですみません。
まあ、消費者にとっては安ければ安いほどいいのですが、
安すぎる商品は絶対買ってはいけません。
なぜなら99%偽物だからです。
私は、その業界にいますのでよくわかりますが、大手家電量販店で売られている値段より明らかに安い場合、具体的に言うと3割以上も安いような場合、
その商品は偽物ですよ!!
では、なぜそう言えるのか?
業界人しか知らない事情を商流から説明しましょう!!
この記事にも注目!!
消費者が商品を買う流れ
まず、どのようにして市場に商品が流れているのか、考えてみましょう。
一般的には以下のようなルートをたどります。
製造元(工場)
↓
販売元(メーカー)
↓
問屋
↓
小売店
↓
消費者
製造元と販売元が一緒になっているケースもありますが、今はホンハイのようなEMS企業(受託生産企業)が発達しており、工場をもたないファブレス企業がEMS企業へ商品の製造を委託するケースが増えてきていることから、製造元と販売元が異なる場合が多いです。
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いずれにしても、基本的に販売元は(メーカー)は商品を問屋さんに卸します。
で、問屋さんはメーカーから買った商品を今度は小売り店に売り、消費者は小売店から購入することになります。
もちろん例外はありますが、商品の流れは以上のようになっています。
ではここから、各ステップでの商品価格の変化の具合を見てみましょう。
そのあと、製造元(工場)の出荷価格が100円のものが、最終的に消費者が手にするときにはいくらになってるのか、シミュレーションしてみましょう。
商流のステップごとの商品価格の変化。
基本的に利益率は以下となってます。
・製造元が販売元へ売る際、約2%ほど営業利益がでるような価格に設定します。
→製造業の場合、人件費の上昇等もあり今では2%ほどしか営業利益を出せません。2%でもいい方です。
・販売元が問屋に売る際、仕入れ値+約30%上乗せして売る。
→これは企業体質にもよると思いますが、原価(仕入れ値)+30%程上乗せすれば、十分に健全な経営ができるはずです。
・問屋が小売店に売る際、仕入れ値+約7%上乗せして売る。
→問屋は基本的にモノを大量に仕入れ、右から左にモノを流す役目であり、物流以外に人件費もさほどかからないため、7%ほどの粗利で商品を仕入れているはずです。
・小売店が消費者に売る際は仕入れ値+約25%上乗せした価格で販売する。
→小売店は店舗賃料、営業担当等の人件費等がかかりますから原価+から25%程を足した価格で店舗に並べないと十分な利益は取れないでしょう。
では、これをもとに工場出し100円の商品が最終的にいくらで販売されるようになるのか見てみましょう。
製造元(工場)の出荷価格が100円のものが、最終的に消費者が手にするときにはいくら?
上記の利益率に照らし合わせて、100円の商品が最終的にいくらになるのか、見てみましょう。
製造元(工場)※98円で商品を作る。
↓100円で販売元に売る。2円の利益
販売元(メーカー)※原価+30%
↓130円で問屋に売る。30円の利益
問屋 ※原価+7%
↓139円で小売店に売る。9円の利益
小売店 ※原価+25%
↓174円で消費者に売る。35円の利益
消費者=174円+消費税で商品を買う。
このように工場出し商品価格100円の商品は最終的に消費者の手に渡るときは、174円という風になります。
1.74倍ですね。
こう考えると、
中間マージン
めっちゃとられてるんですよね。
21世紀のトレンド
工場直売!!
とかの宣伝文句で商品を売り出したりする企業もあります。工場直売とすることで、中間マージンを省けるので、安く売ることができます。
小売店もPB(プライベートブランド)を積極的に展開し、自社製品を直で販売することも多くなってきました。
また、ここ10年でECサイトが増えてきて、自社のホームページから商品を買えるようにして中間マージンを減らした価格で商品を売る企業もあります。
創業して間もない新しい企業であれば、こういう方法も問題ないですが、以前から問屋経由でモノをさばいている企業は自社ホームページで中間マージンを省いた値段では売ることができません。
なぜか?WHY?
答え:問屋の恨みを買うからです。
ビジネス路線を変更し、完璧に問屋との関係を切ったうえで独自でホームページを開設し売る場合は問題ありませんが、問屋にも売って自社HPでも売る場合、自社HPでは小売店で売られている価格より高い値段でしか売ることができません。
もし企業HPからかなり安い値段で買えるなら、消費者はそこから買いますよね。そうなると問屋や小売店は商品が売れなくなるので、絶対に文句を言ってきます。なので、問屋経由でビジネスをしている場合は自社ホームページで商品を売るメリットはあまりありません。
企業規模が大きければ大きいほど問屋&小売店経由での販売となります。
※アップルは別で自社ECサイトでの販売も立派のしていますがこれは特殊なケースです。
ソニー、パナソニック、シャープ東芝等の製品をその会社のホームページから買いますか?
普通は買いませんよね?
アマゾンで買うか、コジマやビックカメラやヤマダで買いますよね。
大企業と問屋とは切っても切れない関係にあるため、いまさら方向転換してすべて自社直営で売ることはできないんですね。
すべて直営に切り替えるにしても莫大な投資と経費がかかるため、絶対にそんなことしません。アップルのような圧倒的なブランド力があれば事情は異なりますが、でもアップルも直営だけでやってるわけじゃないですからね。一般の小売店も利用してますからね。
商流として問屋&小売店はまだまだ外せない存在です。
なぜ安すぎる製品は偽物なのか?
ここから本題に入ります。
消費者としては商品をできるだけ安く買いたいですよね。高く買いたいなんて人はいないでしょう。
だから価格ドットコムが人気になるわけです。
私も価格ドットコムをよく見ていますが、如何せん台湾に住んでますので利用することはほぼないです。
ただ、覚えておきたい点として、
安すぎる製品、具体的に言うと一般的に売られている価格より30%以上も安いような製品は偽物と思って間違いないです。
先ほど上で説明した各ステップでの価格を思い出して下さい。
新製品で(←ここポイント!)一般的な小売店で売られている価格が174円なのに、もしそれが問屋への卸売り価格以下、すなわち130円以下で売られていたりする場合、
その商品は一体どっから来たんでしょうかね?
出所がわかりません。
もしこれが170円とか、150円とかで売られているとしたら、それは
小売店が通常の利益を削って売ってる
だけなので本物でしょう。
でも140円を切るような値札が付いているならば疑った方が良いです。ましてや通常より30%以上も安くしているような場合は、要注意です。
新製品で174円の商品が100円で売られているようなら、それは間違いなく偽物です。
100円は工場出し価格です。
工場出し価格で売られているということは3つの可能性があります。
1.品質が粗悪で100円以下で別工場で製造された偽物。
2.工場が製品を勝手に横流ししている。(別ルートで直売)
3.小売店が売名や実績作りで超赤字で売っている。
「3」については可能性はほぼないと思っていただいて構いません。
こんな事したら
市場価格を荒らしている
とメーカー(or問屋)からみなされて、通常ルートでは商品を仕入れることができなくなるからです。いわゆる業界内のブラックリスト入りですね。
もちろん、イベントや宣伝の為に数量限定で赤字覚悟のセールをやることはありますが、
新製品を常時赤字を垂れ流して売り続ける小売り店なんてありません。
そんな事したら経営が傾き、すぐに倒産しますね。
明らかに安い製品は偽物!
当たり前ですが、これを覚えておきましょう。
怪しげな店やネットサイト、そしてヤフオクやメルカリなどの個人間取引において
「未開封・新品」
として出されている激安の商品は疑ってかかりましょう。
私もメーカーに勤めていて、かなりの数の偽物を見てきましたが、最近の偽物は本当に精巧にできていて、素人目には本物か偽物かなんてわかりません。プロの私でも外観からは確証が持てず、内部を分解し、電気抵抗値を見てから真贋判定をすることもあります。
ヤフオク、メルカリで売られている製品は中国から流れてきた偽物が多数販売されていますので、本当に注意して買いましょう。
ヤフオクとかメルカリの個人間取引において偽物を見破る方法
簡単な方法をお伝えしておきます。
まず、出品されている製品について、正規メーカーのお客様窓口に電話かメールします。
で、こう尋ねましょう。
○○の商品についてお尋ねしたいのですが、製造国はどこでしょうか?
すると、メーカーの担当者から正確な製造国についての情報が得られるはずです。
メーカーにいちいち連絡するのが面倒臭い場合は、大手家電量販店に行って、当該製品の外箱や本体に明記されている製造国情報を確認してみましょう。
で、次に出品者に質問してみます。オークションとかの個人間取引の場合、たいてい出品者に質問できますよね。
その時、メーカーに尋ねた同じ内容の質問をしてください。
質問:この製品はどこで作られていますか?(製造国はどこですか?)
こう聞いて、メーカーの回答と違うこと言ってきたら、
それは偽物です。
基本的に偽物を販売しているような輩は、目先の利益しか頭にないアホな連中が多いので、製造国情報なんて知らないでしょうから、適当に外箱を見たりして
中国製です。
と回答してくることでしょう。
まあ、メーカーと偽物販売業者の回答が同じであれば、偽物と見破ることはできませんが、最近では
脱中国
ということで、製造国が中国からベトナム、タイ、インドネシア等の東南アジアの国にシフトしてきていますから、本物は東南アジア製なのに、偽物販売業者が「中国製」と言ったりすれば、即座に偽物と見破ることができるわけです。
ただ、リスク回避のため、メーカー側が2社購買や3社購買をしているようであれば、同じ製品でも製造国が異なったりする場合もありますから、そこは注意が必要です。
また、
以前は中国で製造していたが、米中貿易戦争の関係で別の国で製造するようになった
というケースも最近ではよくありますから、そこも注意しないとだめですね。
いずれにしても、私はこの方法で悪質業者を撃退することがあります。
台湾で本物の製品を激安で入手する方法
台湾でも偽物の製品が露天拍賣や蝦皮購物とかで売られていますが、これらのサイトで売られている
格安の製品がすべて偽物!
とは限らないです。
特に、旧正月前後に出品されるアップル製品やその他の家電製品は、かなり安く魅力的です。
私もこの時期にアップル製品の新品を恐れずに露天拍賣で買う事があります。
なぜか?なぜこの時期にオークション等で出回る製品は安全なのか?
それはひとえに台湾の企業文化と関係があります。
台湾ではほとんどの企業が
「尾牙(ウェイヤー/wei3ya2)」
という、いわゆる忘年会を大々的に開催しますが、この忘年会の時の景品として
アップル製品やその他有名メーカーのデジタルガジェット等が大量に社員に配られることがあります。
すでにiPhoneを持ってる社員は忘年会の景品で当たったiPhoneを現金化するため、こういうECサイトを通して販売するんですね。
小売店で販売して言る価格に近い価格で販売してもだれも買わないですし、即座に現金化したい人が多いためか、旧正月前後にはこういった「本物の製品」が格安で大量に出回ります。
ビッグチャンスです。
アップル製品はもともと保証書とかなくて、
ネットに繋げた日=保証開始日
なんで、店から買おうが個人から買おうが一緒です。
なので、欲しいアップルの製品がある場合、旧正月前後に露天拍賣を頻繁にチェックするといいですよ。
終わりに
かなり長い文章となってしまいましたが、仕事柄偽物を見る機会が多いので、今日はこんな記事を書いてみました。
偽物退治はイタチごっこなんで、完全に叩き潰すことは今後とも不可能です。
本物と思って買ったのに偽物だったときのショックは計り知れないですよね。
避ける方法は簡単で、
正規取扱店舗で通常の値段で購入することです。
わかっちゃいるんですが、なるべく安く買いたいというのが人の常ですから、難しいところです。
皆さんも是非、偽物にはご注意ください。
以上
台湾マスターでした。
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